Home   謡 曲 (第TOP頁) BGM  Someday

   
  

鶴鳴(かくめい)」の詩は、ことわざにある「他山の石」の出典として知られる。古くからの、人材登用をうたった詩。
 鶴(つる) 九皐(きゅうこう)に鳴き聲(こえ) 野(や)に聞こゆ

鶴の声が響くように、隠れた賢者の存在は伝わるもの。
它山(たざん)の石も 以(もっ)て玉(たま)を攻(おさ)む可(べ)し 

九皐(かくきゅうこう)に鳴き 声野(や)に聞こゆ
魚潜みて淵に在り(うお ひそみて) 或いは渚(しょ)に在り
楽しきかな彼の園は(かのそのは)ここに樹檀(じゅだん)有り
它山(たざん)の石も以って錯と為る可(さくとなるべき)ならん

九皐に鳴き その声天に聞こゆ 魚渚(しょ)に在り 或いは潜みて淵に在り 楽しきかな彼の園は 爰(ここ)に樹檀有り 其の下(そのした)には維れ穀(こく) 它山の石(たざんのいし)も 以って玉(ぎょく)を攻く(みがく)可きならん

詩経 小雅・鴻鴈之什


 Know Nohwww.kanze.com

特別会 平成22年2月28日(日) 正午開場 矢来能楽堂
翁 おきな 長沼範夫。  狂言 鍋八撥 なべやっぱち 野村万作。  玄象 げんじょう 鈴木啓吾。
 


2008.12.20(土) 百周年記念特別公演 記念能 於国立能楽堂

ラインラインライン

花の哲学 成川武夫著 1980多摩川大学出版部 発行 P222 世阿弥・・老後の初心忘るべからず・・命には終わりあり、能には果てあるべからず・・上がる位を入り舞にして、つひに能下がらず・・世阿弥の能芸論は初期の「風姿花伝」をはじめ中後期の「至花道しかどう」「花鏡かきょう」「拾玉得花しゅぎょくとっか」など18種の伝書、および、芸談の筆録である「世子六十以後申楽談儀」のうちに収められている。・・能芸美・稽古・演技・演出・作能などの諸方面に関する能芸論・・中心主題は舞台効果である「花=舞台における表現効果・演出効果としての能芸美=感動的な場面・見せ場・さわり・・=「幽玄(優美)」「珍しさ(新鮮さ)」「面白さ(面白きところ)」・・」の表現論である。・・・

花 絢爛の桜 梅の素朴 ゆりの清楚 菊の高雅 バラの甘美 ボタンの妖艶 

世阿弥の生涯は、一般に将軍との関わり方に基いて、・・(思想展開を一般に)「風姿花伝」3代義満時代を前期、4代義持時代の「花習」から「拾玉得花」までを中期、6代義教時代の「五音」以下を後期とする区分はがある。が、中期と後期の協会はそれほど明確ではない(同書28P)。・・・

幽玄の変遷(同書41P〜) 幽玄;元来中国で労使や仏教の悟りの境地が深遠微妙でsあることを形容する言場・・・暗くて深いという意味の幽と、光を通さない黒を意味する玄の合成語(元来、理性の光の通らない暗く奥深い存在を示す)・・谷崎潤一郎に「陰影礼賛」・・一文に・・日本美の真髄は周囲を暗くし、必要なところに光をあてることよって実在感が強められるところにあるという見解が、日本の伝統的な工芸料理、、建築、衣装、女性などについて具体的に論じられている。・・たとえば、闇を条件に入れなければ漆器の美しさは考えられない・・派手な蒔絵を施したピカピカ光る・・器物を取り囲む空白を真っ暗な闇で塗りつぶし・・(太陽や電灯の高繊維代えるに一点の)灯明か蝋燭のあかり・・・ケバケバしいものが底深く沈んで、渋い重々しいものになるだろう・・。
平安時代の幽玄 (同署42P〜) ・・余情(ヨセイ)という美的観念ときわめて親近な関係・・平安中期中御門宗忠の歌論「作文大体」に余情幽玄体の歌体(歌風の様式)・・末期の藤原定家は「毎月抄」という歌論で10種の歌体の中で、その一つを幽玄体とよんだ。鴨長明は「無明抄」という歌論のなかで、この幽玄体を「詮は(つまるところは)ただ詞(ことば)にあらわれぬ余情、姿に見えぬ景気(けいき・かすかな情趣)なるべし」と規定し・・紀貫之は余情の意味について「在原業平の歌を<その心あまりて、詞足らず、しぼめる花の色なくて、にほひ残れるが如し>と評した(つまり、『心>詞』という表現形式が積極的に活用された場合に・・言外に香気のように漂う情趣、そこはかとない悲哀の感情=余情に、幽暗な奥深さという幽玄の原義のニュアンスが加味されたいわば余情的幽玄・・。俊成は幽玄・余情をすぐれてしめしている歌として、心なき身にもあはれはしられけり鴫(シギ)立つ沢の秋の夕暮れ(西行)。津の国の難波の春は夢なれやあしのかれはに風渡るなり(西行)。茂き野と荒れはてにける宿なれやまがきが暮れに鶉(うずら)鳴くなり(侘連)。夕されば野辺の秋風身にしみて鶉鳴くなり深草の里、み吉野の山かき曇り雪降ればふもとの里は打ち時雨つつ(自讃歌)。

鎌倉時代以降の幽玄(同書44p) 花やかな優雅な美しさを意味する幽玄への変遷 世阿弥と同時代人の歌人正徹は「南殿(紫しん殿)の花の盛りに咲き乱れたるを、衣袴(くぬばかま)着たる女房4,5人ながめたらん風情を幽玄体というべきか」・・
「花伝」における幽玄は、言葉の規定に関しては・正徹風の優美・幽玄と同義・・女性的・貴族的・優雅な美しさ「花やかんる為手、これ、幽玄なり(第3問答)たとへば・・女御・更衣・優女(遊女)・好色(美女)・美男・草木には花の類、かようの数々はその形幽玄の物なり(第六花修)・・・。
「花の美」は幽玄美だけで成り立つものではなく、珍しさや面白さも必要とする・「よき能」の不可欠要素・・。(47P)「花と、面白きと、珍しきと、これ三つは同じ心なり・・能も住する(停滞する)ところなきを、まず花と知るべし、住せずして余の風体(他の芸能)に移れば、珍しきなり(第七別紙口伝)・・。・・散る花への愛惜であるよりは、咲く花の珍しさのへの賛美である・・主たる関心は、無常な自称の崩壊・消滅の相にではなく、生成・成就の相にむかっている・・。・・「姥捨」「関寺小町」など老女物の・・命のはかなさを愛惜する一種の無常美への傾斜・・(よりも全般的には)咲く花の「珍しさ」・・生成の、成就の美感が基調・・。・・替わり芸による珍しさ(前掲書50P)・・40歳を過ぎた父観阿弥が自然居士で少年僧の役を演じたとき、観客の評判では、16,7の少年に見えた芸を・・「若くては年寄りの風体、年寄りては盛りの風体を残すこと、珍しき荷あらずや」・・・。世阿弥はこれを「年々去来の花)を忘るべからず」と教え、幼少の時代から老後にいたるまでの芸を同時に備える芸力によって・・替わり芸の珍しさという表現効果を発揮できる・・。・・・前掲書54頁〜「怒れる風体にせん時は、柔らかなる心を忘るべからず。これ、いかに怒るとも荒かるまじき手立てなり、怒れるに柔らかなる心をもつ事珍しき理(ことわり)なり。・・鬼能を御家芸とする大和のダイナミックな物まね芸が、幽玄な歌舞性を基調とする近江のスタティックな芸風と癒合して、様式的に洗練されていく方向を予想させるものであり・・・「身を動かすときは、足踏みをぬすむべし、足を強く踏むときは、身をばしずかに持つべし」という抑制的演技論も、同様の珍しさを志向するもの・・。
面白さ・・面白し(形容詞)の原義は「面が白し」で明るいものを見て、眼の前がぱっと開ける意、気分の晴れ晴れする意。これが音楽遊楽などの快さを形容する語としてひろまり、文芸・装飾その他への知的感興を一般的にあらわすようになった・・。天照大神が岩戸を細めにあけて外を覗く、すると国中が再び明るくなって、神々の面(おもて=顔)が白く見えた。そのときの歌舞の芸能が申楽の始まりだといわれている。
物狂いの面白さ・・世阿弥は「女」「老人」「直面(ひためん・素顔の男)」「物狂い」「法師」「修羅」「神」「鬼」「唐事(異国人の役)」という、物まね演技における九種の基本的役柄について写実の立場から演じ方を教えている・・物狂いには神仏が乗り移ったり、生霊死霊がつiいて狂う・・「親に
別れ、子を尋ね、夫に捨てられ、妻におくるる」といった悲しみと愛慕の思いから狂乱するものがある。前のほうの物狂いは、その憑き物の正体に似せれば役作りの手がかりが得られ易いが、あとのほうを演ずるのは容易ではない・・物思いゆえの物狂いはいかにも物思いに沈んでいる様子を主眼として狂い乱れるとkろを見せ場として、心をこめて狂えば「面白き見所」も必ずうまれてくるだろう・・。・・子を尋ねる母親の物語「百万」「隅田川」、恋人を尋ねる女性の物語「班女」「花筐」・・。・・・修羅(仏教では、この世で戦争に携わったものが死後に落ちる地獄の世界。つまり修羅道のことであるが、能では修羅道に落ちて闘争尾責め苦を受けている武人の霊鬼を意味している。・・鬼も怨霊や憑き物などの鬼(船弁慶・葵の上・・)と冥土の鬼(鵜飼・野守・・)とがある。・・

時分の花 序破急 余情ー幽玄
ラインラインライン

矢来能楽堂地図

 ただあらわれぬ余情(よせい)
TEL.03-3268-7311 FAX.03-5261-2980 東西線 神楽坂駅 矢来口
矢来能楽堂は、昭和5年、当時の牛込区矢来町(現在地)に新築されたが昭和20年5月24日空襲により消失。昭和27年9月、現在の舞台を再建し、平成14年で50年を迎える。







 
2009.1.21 国立能楽堂                   平成21年3月14日 国立能楽堂  

  
2009.1.17 安宅 国立能楽堂                2009.2.7 宝生能楽堂  
…………………………………………………………………………………… 
  
100周年記念特別公演 (平成21年7月26日熊野ほか)国立能楽堂    (平成21年10月18日松風ほか)矢来能楽堂



平成23年4月24日国立能楽堂
ラインラインライン



fc2-index

inserted by FC2 system